mruby の例外は C の setjmp/longjmp を使うものと C++ の例外を使う実装がある。 これは基本的には C++ のための機能で、つまり setjmp/longjmp を使うと C++ のデストラクタが発動しないためにそうなっている。

emscripten は setjmp/longjmp と C++ の例外の双方を一応サポートしているが、どっちも推奨されていない。

Code that uses low-level features of the native environment, for example native stack manipulation in conjunction with setjmp/longjmp (we support proper setjmp/longjmp, i.e., jumping down the stack, but not jumping up to an unwound stack, which is undefined behavior).

from: http://kripken.github.io/emscripten-site/docs/porting/guidelines/portability_guidelines.html#code-that-cannot-be-compiled

Catching C++ exceptions (specifically, emitting catch blocks) is turned off by default in -O1 (and above).

from: http://kripken.github.io/emscripten-site/docs/optimizing/Optimizing-Code.html#other-optimization-issues

WebAssembly にした mruby での setjmp/longjmp を使った例外は、コードの規模が大きくなってくると動作が怪しくなる。 デスクトップの Firefox と Safari では大丈夫だったのだが、 Safari@iOS だと実行中に突然Webページがクラッシュする。 例外処理を全然使ってないコードであっても発生する。 （SafariのWebページのクラッシュ、ログが残らないようで、調査がしづらい…）

mruby の例外の実装を、 C++ の例外をつかったものにすると、 Safari@iOS でも動作が安定した。 これには build_config.rb で conf.enable_cxx_exception を指定する。

さらに、 emscripten はデフォルトだと C++ の例外を動作させないので、 emcc に -s DISABLE_EXCEPTION_CATCHING=0 オプションを渡す。 mruby で例外が起きた途端に死ぬことになるが、それでも構わないのなら、C++の例外を無効化したままだと、より安定しそうな気もする。

WebAssemblyに例外の導入が検討されているようなので、実現したらこの辺もちょっと変わるのかもしれない。